2026年8月25日(火)、東京都品川区「スクエア荏原」にて、第4回となる「タイマッサージアワード2026」が開催されました。
今年は募集枠を昨年までの60名から72名へ拡大。
わずか2日間で全枠が完売し、当日は欠場者1名を除く71名のタイマッサージセラピストが全国各地から集まりました。
本大会が目指しているのは、華やかな技を競うためだけのコンテストではありません。
日々のサロンでさまざまな体型や症状のお客様に向き合うセラピストが、安全で、多くの方に心地よいと感じていただける施術を身につけること。
そして、「世界で一番気持ちいいマッサージ」とも呼ばれるタイマッサージの魅力を、さらに深く追求していくことを大切にしています。
より公平で、成長につながる審査を目指して
今年の実行委員会では、これまでの大会で培ってきた仕組みを引き継ぎながら、より公平で納得感のある審査を目指して、さまざまな見直しを行いました。
まず改めて明確にしたのが、国際タイマッサージ協会が考える「タイマッサージのあるべき姿」です。
タイマッサージならではの深い心地よさを大切にしながら、幅広いお客様に受け入れられる施術であること。
そして何より、安全性に十分配慮されていること。
審査員全員がこの考え方を共有したうえで評価とフィードバックを行えるよう、オンラインを含む計5回の審査員練習会を実施しました。
評価基準を確認するだけでなく、実際に施術を受け、採点やフィードバックについて意見を交わしながら、審査の目線を丁寧にすり合わせていきました。

競技では、60分間の施術を「仰向け20分・横向き15分・うつ伏せ15分・座位10分」に分け、それぞれ異なる4名の審査員が施術を受けて評価します。
審査項目は、
・リズム・圧の強さ・ストレッチ・手の感触・接客・施術の流れ
の6項目です。
今年は、審査員ごとの採点の傾向を調整する偏差値方式がより安定して機能するよう、原則として各審査員が8名の出場者を担当する形に統一しました。
また、今年は午前・午後の区分を取り払い、すべての出場者を合わせた中から上位12名を選出しました。
審査員によって生じる採点の甘辛を偏差値によって調整するとともに、担当審査員や組み分けが結果に及ぼす影響を、できる限り小さくするための取り組みです。
緊張と期待に包まれた開会式
開会式では、大会の開催趣旨や審査基準、当日の流れ、注意事項などを改めて共有しました。
競技を前に、会場にはほどよい緊張感が漂っていました。
そんな出場者の緊張をほぐし、心と身体を整えてもらうために、開会式での演舞と準備体操は例年続いている催しの一つです。
今年は、大槻一博先生、亀田結先生をはじめとする皆さんによる、タイ北部の伝統武術「フォンジューン」の演舞が披露されました。


続いて、阿部朋子さんによるルースィーダットンを全員で行い、出場者の気持ちを鼓舞するとともに、会場を包んでいた緊張をやわらげてくれました。


開会式の間は、真剣な表情で説明に耳を傾ける方。近くの出場者と言葉を交わしながら、気持ちを整える方。
出場者それぞれの姿から、この日のために準備を重ねてきた思いが伝わってきました。

演舞とルースィーダットンを終える頃には、会場を包んでいた緊張も少しずつやわらぎ、出場者一人ひとりが、これから始まる60分間の競技へと気持ちを切り替えていきました。
71名のセラピストが挑んだ競技
午前・午後の2部に分かれて行われた競技では、会場に36床のマットが並び、出場者一人ひとりが60分間の施術に臨みました。
合図とともに一斉に施術が始まると、会場の空気は一変しました。








限られた時間の中で、仰向け・横向き・うつ伏せ・座位の施術を組み立てること。
明るく開けた会場で、大勢の人に見られながら施術を行うこと。
そして、体勢ごとに異なる審査員と向き合うこと。
普段のサロンとはまったく異なる環境です。
緊張して、いつもの自分らしい施術ができなくても、決して不思議ではありません。
そのような状況でも、出場者の皆さんは目の前の審査員を一人のお客様として捉え、これまで積み重ねてきた技術と接客を、真剣な表情で表現していました。
相手の身体や反応を丁寧に感じ取り、力加減を確認しながら施術を進める姿が、会場の至るところで見られました。
各体勢の施術後には、審査員から出場者へ直接フィードバックを行いました。
出場者は、スマートフォンでアドバイスを録音したり、メモを取ったりしながら、自身の強みや改善点に真剣に耳を傾けていました。
審査員にとっても、限られた4分間の中で、出場者の未来につながる言葉を届ける責任ある時間です。
単に点数をつけて終わるのではなく、「どうすれば、この方の施術がさらに良くなるのか」を考え、一人ひとりと誠実に向き合いながら、4分間のフィードバックに魂を込めました。









大会ならではの緊張感がありながらも、会場全体には、互いの挑戦を尊重し、応援し合う温かさがありました。
勝敗だけを目的とせず、出場者も審査員も共に学び、成長することを大切にしてきた、タイマッサージアワードらしい光景でした。
競技の後も続く、充実した学び
競技終了後には、3つのワークショップが行われました。
柴田佳穂先生・三品朱里先生・池田桃子先生による「選ばれるセラピストの接客術」では、お三方ご自身の経験に加え、他店で活躍する人気セラピストへのインタビューをもとに、「お客様から選ばれる人」に共通する接客のポイントを紹介していただきました。
デビューしたばかりのセラピストにも分かりやすく、すぐに現場で活かせる実践的な内容となりました。



川島砂海先生・柴田佳津江先生による「女性セラピストが一生モノの仕事として輝き続けるヒント」では、長年現場に立ち続けてきたお二人が、ご自身の経験をトーク形式で紹介。
女性セラピストだけでなく、店舗経営者や男性スタッフにとっても知っておきたい、貴重な経験や考え方が共有されました。


大槻一博先生による「エネルギーラインについて」では、タイマッサージにおいて大切な「セン」について、基礎的な考え方から、さらに理解を深めるための内容まで、短い時間の中に凝縮してお伝えいただきました。



接客にすぐ活かせる実践的な内容から、セラピストとして長く活躍するためのヒント、タイマッサージの専門的な学びまで、それぞれ異なる角度から理解を深められる充実した時間となりました。
出場者やワークショップ参加者の皆さんも、講師の言葉に真剣な眼差しで耳を傾け、それぞれが今後の活動につながる多くの気づきを持ち帰ることができたのではないでしょうか。
さまざまな思いがあふれた表彰式
そして、大会の最後には、審査結果の上位12名へ「ベストセラピスト賞」が贈られました。
遠方から一人で参加し、挑戦した方。
第1回大会から諦めずに出場を続け、ついに受賞を果たした方。
これまで出場を迷いながらも、今年ようやく一歩を踏み出した方。
そこに至るまでの背景は、一人ひとり異なります。
それでも皆さんに共通しているのは、自分自身の可能性に挑戦し、そして、その先にいるお客様のために行動したということです。
名前が一人ずつ発表されるたびに、驚きや喜び、安堵の表情があふれ、涙を流す姿も見られました。
それぞれが積み重ねてきた時間や、その場に立つまでの思いを想像すると、私たち実行委員にとっても、涙なしには見られない表彰式となりました。

「タイマッサージアワード2026」ベストセラピスト賞
以下12名(五十音順)
・五十嵐友香さん
・遠藤健彦さん
・片岡大海さん
・佐藤榛梨さん
・倭文香さん
・渋谷あおいさん
・住本衣舞さん
・畑中玲音さん
・藤沼夏未さん
・古澤さん
・矢野剛司さん
・結城博子さん
受賞された皆さま、誠におめでとうございます。

一人で参加しても楽しめる懇親会へ
大会終了後には、参加者・審査員・運営スタッフによる懇親会を開催しました。
タイマッサージアワードには、仲間と一緒に参加する方だけでなく、遠方から一人で挑戦する方も少なくありません。
そのような方にも安心して楽しんでいただき、新しいつながりを持ち帰ってもらえる場にしたい。そんな思いから、今年も実行委員会では懇親会の内容にも気を配りました。
会場には今年からアルコールも用意され、練馬のタイ料理店「居空間」さんによる、おいしいヴィーガン弁当を囲みながら交流を楽しみました。




さらに、セラピストダンス部によるソーラン節も披露され、会場は大いに盛り上がりました。




地域や所属、経験年数の垣根を越えて会話が生まれ、一人で参加した方も自然と輪の中に入っていく。
大会の緊張感から解放された皆さんの笑顔が、会場のあちらこちらに広がっていました。








評価チャートをさらにブラッシュアップ
タイマッサージアワードは、受賞者を決めるだけの大会ではありません。
出場したすべての方が、自分の施術の強みや、これから磨くべき部分を知り、日々のお客様への施術につなげていくことを大切にしています。
そのため、希望された出場者には、後日、一人ひとりの評価チャートをお送りしました。
今年はその内容をさらにブラッシュアップし、6つの審査項目について、本人の平均点と、担当審査員が評価した出場者の平均点を比較できるようにしました。
さらに、
・相対的に評価された「強み」
・優先して磨いていきたいポイント
・4名の審査員によって評価が分かれた項目
も表示しています。
順位や個別の審査結果を公表するものではありませんが、自分の現在地を、これまで以上に具体的に捉えられる内容となりました。
比較がはっきりと表れるため、人によっては厳しく感じたり、悔しい気持ちになったりすることもあるかもしれません。
それでも、自分の施術と真剣に向き合って出場した経験も、そこで見つかった課題も、決してその人の価値を否定するものではありません。
結果を受け取ったその先で、改めて自分の施術を見つめ直し、より多くのお客様に喜んでいただくためのきっかけとして活用してほしい。
そんな願いを込めて、一人ひとりの評価チャートを作成しました。
大切なのは、ここから
タイマッサージアワードは、タイマッサージセラピストが自分の実力を確かめ、日頃の努力の成果を試す場でもあります。
しかし、本当に大切なのは、結果が出た「その先」です。
受賞した方も、今回は受賞に届かなかった方も、結果だけですべてが決まるわけではありません。
評価された強みを、さらに磨いていくこと。
見つかった課題から目をそらさず、これからの施術に活かすこと。
そして改めて、「お客様のために、自分は何ができるのか」を、これからも考え、向き合い続けること。
悩むことや、自信を失いそうになることもあると思います。
それでも、どうか諦めず、これまで自分が積み重ねてきたものを信じて、歩み続けてください。
人の身体に触れ、心に寄り添い、その人が少し元気に、少し幸せになって日常へ戻っていくお手伝いができる。
セラピストは、そんな誇りある仕事です。
この大会が、自分の施術と向き合い、仲間と出会い、セラピスト人生をより楽しめるきっかけとなること。
タイマッサージアワードを、これからもそんな場所として活かしていただけたら、実行委員一同、これほど嬉しいことはありません。
ご出場いただいた皆さま、審査員の皆さま、ワークショップ講師の皆さま、ご協賛・ご協力いただいた皆さま、そして大会を支えてくださったすべての方に、心より御礼申し上げます。
また来年、さらに成長した皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
執筆
タイマッサージアワード2026 副実行委員長 坂田雄輝